細野不二彦 「Blow Up ! SESSION・1”IT COULD HAPPEN TO YOU”」 を読んで


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細野不二彦は日本を代表する漫画家と言っていいと思う。
彼の幅の広い舞台をマンガとする力は顕著で、他の漫画家にはない説得力のある作家だと思う。
今回取り上げる「Blow Up!」は細野作品が初期ギャグから中期シリアスへと移り変わるはじめの作品だ。
物語は主人公の菊池オサムがジャズミュージシャンを目指し、大学中退をする直前から世界への一歩へと踏み出すまでのお話。
さて、今回は文庫版1巻の第1話を語っていこう。
ある夏の避暑地でのジャズフェスティバルで大学生の菊池オサムは会場設営のアルバイトをしていた。
そこで社会人となったかつてのジャズ研の後輩福田と再会し、フェスティバルをドタキャンした往年の名プレイヤーのドラマーを呼び戻すドタバタ話。

もう1話の時点で菊池は田舎モンだけど筋の通った、いわゆる頑固な大人子供だということが特に菊池と福田の車中での会話でよくわかると思う。
また二人がどんな選択をしたにせよ、少なくとも大学生レベルで優れたプレイヤーだったことがP19の菊池の発言でわかるだろう。

菊池と福田は名ドラマーを追って錆びれたピアノバーへ来たはいいが、埒の明かなくなり暇つぶしに二人はセッションを始める。
そのセッションはもしかしたらタイトルのように「IT COULD HAPPEN TO YOU」を演奏したかもしれないし、しなかったかもしれない。
ただ、二人の演奏により名ドラマーは復活する。


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