柏木ハルコ「ブラブラバンバン」 を読んで


2

僕の柏木ハルコとの出会いは95年から96年までに週間ヤングサンデーに連載されていた
「いぬ」という作品だったと思うのだが、正直内容は憶えていない。
ただ印象深かったのは柏木ハルコ特有の絵柄と物語の内容が妙にエロかったということだろうか。
成人マンガにありそうな、いわゆる”抜きどころ”があるエロそのものではなく、
だからといって女流作家特有のボーイズラブとかレディースコミックとかに表現されるような爽やかさというか、
例えるならば作家よしながふみの様な”愛の業”と”生々しさ”とは別の、
もっと動物的で野生的、更に加えるならば刹那的で排他的な”エロ”は、
柏木ハルコが描くアクの強い絵柄と相まって
更に強調され過剰とも思える表現を彼女自身は確立しているように思える。
しかし、その彼女自身が持っている過剰さは時として読者を置いていく毒にもなるわけで、
僕自身も「いぬ」を含めて、はじめは楽しんで読んでいたはずなのに途中から作者に付いて行けず、
単なる読者に過ぎない僕は息切れしてしまって「もう無理っす。すいません、あなたには付いて行けません」
と謝りながら作家の背中を見ながら見捨ててしまう事が多々あります。

だけれども、今回取り上げる「ブラブラバンバン」は物語の内容そのものが基本的には高校生の部活動という
極日常的な風景を取り上げているに過ぎず、
登場人物の全員は動機がどうであれ純粋に演奏が上手くなりたいという気持ちそのものが溢れているので、
読者らもそういった登場人物の成長物語と部活動の成功物語といった”音楽マンガ”&”スポ根という”カタチで素直に読めるだろうし、
その上で柏木ハルコ自身が持っている変態的なエロティシズムが甘美に重複されることによって、
ギャグを通り越して”変態”マンガとしても実に下らなく楽しく読めることだろうと思います。


もどる 次へ

inserted by FC2 system