日本の楽器は質と量共に世界一までの一歩


あまり知られていない事だが、ほぼ全ての楽器において日本の楽器生産は世界一だ。

楽器の需給数量なんてアメリカを凌駕しており、ある評論家は異常だと言う始末である。

細かい事は後述すると思うが、特にヤマハ楽器の生産力は驚異的であり、
電子楽器においては日本の楽器メーカーは明らかにトップクラスといえる。

また、ヤマハやカワイといった国内ピアノ占有率は、なんと9割を超えており、
4件に1件の家庭にアップライトピアノもしくはグランドピアノを所有している状態で、電子ピアノ・キーボードを加えると、
半分以上の家庭が鍵盤楽器を所有している模様だ。

質に関しても、代表的なピアノを例にしても、ショパンコンクールやチャイコフスキーコンクールといった
権威あるコンクールでもヤマハやカワイは指定楽器として指名され、
クラシックやジャズの世界においても著名なピアニストが日本のピアノを指定するなど、
日本の楽器は質と量共に世界クラスへと発展している。

僕が専門としているフルートに関して言っても、ムラマツを中心に世界的に指示を受けており、ヤマハに限っては、質はもちろんの事、
生産量も桁外れでフルートの世界占有率は明らかにトップだろう。

1867年に大政奉還が行われ、1868年に明治と元号が改められ、日本が近代国家へ生まれ変わり現在(2006年現在)に至るまでの、
たった138年で日本は本当に様変わりをした。

私たちの身のまわりにある、慣れ親しんでいる音楽は1879年に東京藝術大学の前身である音楽取調掛が設立されてから、
伊沢修二を中心に西洋音楽を積極的に取り入れることにより、
日本固有の音楽と西洋の音楽の融合という形で「唱歌」が生まれ発展していく事になる。

西洋楽器に関しても、文明開化してから横浜を中心に外国人オーケストラや教会を経由して海外から輸入される事になるわけだが、
何と言ってもヤマハ創業者である山葉寅楠の名前は外せないだろう。

1886年に彼が浜松の小学校でベビーオルガンを修理する機会がなかったら、今日のような日本の楽器大国があっただろうか?

もちろん、日本の楽器産業の礎を築いた、オルガンの西川虎吉、ヴァイオリンの鈴木政吉、フルートの村松孝一、
サクスフォンの柳澤徳太郎・孝信親子、ギターの河野賢、ピアノの河合小市や松本新吉の名も外せない。

ほかにも多くの名前が出てくるのだが、キリがないので控えたい。

ただ、欧米では楽器を発明して改良を重ねながらも200いや300年以上という歴史を持っているにもかかわらず、
日本は100年程度で世界を席巻する楽器大国になってしまった事は、とても興味深いことだ。


inserted by FC2 system