松本大治 「DESPERADO デスペラード」 を読んで


1

今(2006年4月現在)のマンガシーンで音楽マンガのブームとなる連載作品らが開始されるより少し前の
1996年に週間少年マガジンで松本大治「DESPERADOデスペラード」(以下デスペラード)が連載開始された。
大変に残念な事だが、「デスペラード」は必ずしも評価を得た作品ではなかった。
しかし、僕は言いたい。
小学生を対象にした週間少年マンガ誌(本当に対象が小学生かどうかはともかく)で毎週毎週地獄のような締め切りに追われ、
実態が無く目に見えない音を扱う音楽をテーマに果敢に挑戦した事は評価に値する。
また、いくら少年誌の対象年齢が高齢化していると言っても、やはり少年誌の対象は小学生である。
その小学生相手に判り易く楽器の特性や実在のミュージシャンの逸話を織り交ぜた物語、
そして「傷だらけのレスポール」を交えた友情やサスペンス(?)、
何と言っても学園祭やコンクールといったバトルマンガの要素を含んだ音楽も見所であった。
もちろん、内容的に破綻している箇所があるのも事実だが、それも含めて寛容に笑いながら読めるマンガであったことも確かだ。

松本大治の簡単なプロフィールを見てみよう。
1991年度の集英社週間少年ジャンプで「鋼のマングース」が月例新人賞ホップ★ステップ賞を受賞している。
1996年に「デスペラード」を講談社週間少年マガジンで連載開始し、翌97年に連載を終了している。
連載中にも3ヶ月の休載期間があり、音楽マンガの難しさを感じる一幕がある。

あらすじは、友達もいない、学校もつまらない、遊ぶ場所もない退屈な町に住む主人公の高校生である椎名は憧れのライブハウスに通っていた。
椎名は憧れのギターを手に入れ、転校生の黒須との出会いから大きく変化する。学園祭や遊園地、
ライブハウスからコンクールへと音楽の目標をステップアップしていく中、
同級生との確執や音楽を通じての人々との出会いと別れを描いていく青春音楽ドラマ。


次へ

inserted by FC2 system