宮川匡代 「エチュード━Etude━」 を読んで


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僕は音楽マンガを見つめ直すことで、音楽の言語化や視覚レベルにおいての音知覚を探り、
コミュニケーションツールとしての音楽の関係性の発見を目指しています。
まあ、風呂敷を大きくして自分の首を絞める必要はないのだけど、
「マンガから音が聴こえるのか?」という素朴な疑問から始まっていることは確かです。

今回の宮川匡代「エチュード━Etude━」を取り上げた理由は、
音楽という道具の扱われ方の幅の広さを改めて知らされる作品だからです。
多くの人は演奏を行うことより、演奏を聴くことの方が多いです。
その後者の立場から、「エチュード━Etude━」は人と人との触れ合いと成長のきっかけ(関係性の誕生)を作り出している作品であり、
その触れ合いと成長を深めるための発展として演奏を聴く、行うという音楽の扱われ方がとても自然で柔らかく、
そして温かく描かれている巧みな作品だと思う。

あらすじは、大学受験を控えた高校生の萌子と由季はちょっとものたりないけど一番ラクな距離の友達だった。
萌子の両親は仲の良い夫婦で円満な家族のように世間では思われているが、
実際は家族の絆は崩れており萌子はそのことで心に傷を負っていた。
由季はそんな萌子を温かく見守り、いつしか恋人同士へとなっていく。
揺れ動く気持ちに不安を感じながら家族と恋人との関係を構築し障害を乗り越えていく二人の物語。


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