まつもと泉 「きまぐれオレンジ☆ロード」 を読んで


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1984年に連載が始まった、まつもと泉「きまぐれオレンジ☆ロード」(以下きまオレ)は
当時まだ小学校低学年の僕に強烈なインパクトを残した作品だった。
1987年に連載を終えても、88年までにテレビ放映がなされ、その後も劇場版やOVA化されるなど、
当時の少年および青年読者に賛否はあれども熱狂的な支持を受けていた。
まだ小学生(低学年から中学年)だった当時の僕にとって「きまオレ」はとても理解できる内容ではなく、
大人の雰囲気を漂わせるブラックコーヒーのような存在だった。
だけど、正直な事を書くけれども、僕は中学生までろくにマンガは読んでおらず(そもそも週間マンガ誌を買えるほど裕福じゃなかった)、
アニメも他人よりも観ていなかった僕は、それよりも友達と外で遊んだり、ひとりで楽器の練習に精を出していたように思える。
そんな僕に強烈な印象を残しているのは、たまにどこかで見かける「きまオレ」の登場人物である鮎川まどかや檜山ひかるの姿に”大人”を感じ、
そこに淡い恋心のようなものを抱いていたからかもしれない。
どんなに内容が茶番であれ、今なお僕にとってのラブコメディーは「きまぐれオレンジ☆ロード」であるのは、そんな経緯からかもしれない。


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