参考資料文献


「マンガの読み方―わかっているようで、説明できない マンガはなぜ面白いのか」

別冊宝島EX/1995/05
著小形克宏、近藤隆史、斉藤宣彦、白旗直樹、杉本綾子、竹熊健太郎、夏目房之介

僕が教科書としているマンガ評論本です。
もう廃刊となっているので新書店では手に入りません。
ですが古書店やアマゾンなどを回れば手に入ると思います。
現在、国内のマンガ評論および表現論はこれをベースとしているような気がします。


「挑戦者たち」

少年画報社/2005/09
作みなもと太郎

みなもと太郎のエッセイマンガ。
特にみなもとが学生時代や売れていない頃のバイト風景は日本の戦後風俗の参考になると思う。
貸本マンガや日本映画のちょっとした裏側を垣間見る事ができる唯一のマンガだろう。
みなもと先生のマンガは書店にはなかなか置いていないのだけど、手元に置いておくべき一冊と考えます。


「貸本マンガRETURNS」

ポプラ社/06年/3月6日
著:貸本マンガ史研究会

梶井純、吉備能人、権藤晋、ちだ・きよし、三宅秀典、三宅政吉ら研究会が書いた
戦後間もない子供たちから青年に流通された貸本マンガを独自の視線と
当時の感覚や歴史的かつ文化的考察は評価に値する著だろう。
また語りかけてくるような文体は非常に好感が持てるわけで、
判り易く僕のような貸本を全く知らない世代にも丁寧に当時の世相や貸本事情を教えてくれる。
また巻末の資料も非常に豊富で、マンガ史を考察する上で有効な書だと考えます。

僕自身も音楽マンガを考察する上で参考になる箇所がありましたし、
日本の楽器産業が高度成長する前の時代を見つめるという意味でも参考になりました。


「楽器産業」

音楽之友社1990年/06月20日
著:檜山睦郎

故檜山氏の中でもっとも評価されている本だと思う。
残念ながら廃刊となっており、手に入りにくいと思いますし手を入れるにしても元値よりも倍以上の取引がなされていると思います。
この書は1977年に作成されたのを89年に加筆修正された作品。
戦後日本の楽器産業を見つめるには国内においてこれにまさる書はないと思われる。
楽器全般を扱っているので浅く広く取りあげている感は否めないが、丁寧に文章を書いているのは共感を得られる。
また巻末の資料は感嘆に値し貴重と考えます。

もっとも残念なのは90年の新書という事でバブル絶頂期までの分析までしかないということで古いということ。
また、これに続く書がないということ。
あるとするならばヤマハやカワイといった企業成功本だろうか。

音楽や音楽マンガが国内において異常に発展した経緯を知るひとつのきっかけとなる書ではないだろうか。


「『コマ』から『フィルム』へ マンガとマンガ映画」

NTT出版2005年/8月4日
著:秋田孝宏

本著は著者が早稲田大学大学院在学中に書いた映画学の修士論文を加筆修正したもの。
仲間内の研究会でも評価が高いこともあり、内容は非常に優れており判り易い。
マンガ評論の世界でも近年において評価が高い一冊である。

特に映画監督小津安二郎と並べながらマンガとの共通点を探り、提示している点は
マンガ評論において新たな展開を示していると発言するのは決して過言ではないと思う。
また、音楽マンガを探求する上でも参考になる点は多く、第六章からの内容は非常に優れている。

新世紀に入ってからのマンガ評論を語る上で手元に置く価値がある一冊である事は間違いない。


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