岩田康照「MAD JAM」を読んで


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もし、”音楽マンガ”という狭いカテゴリの中で”馬鹿マンガ”の作品を挙げよと尋ねられたら、
間違いなく岩田康照が描いた「MAD JAM」という作品をひとつに挙げるだろう。
たしかに他にも音楽マンガの中で馬鹿マンガは数多くあるのだが、
あえてこの作品を取り上げたのは僕自身が音楽マンガを意識して読み始めた頃に出会ったからだと思う。

現在、岩田康照は”岩田やすてる”に改名して現在に至っているが、
彼を知っている読者は正直なところ、
かなりマニアと思っていただいて構わないと思います。
実際、今回取り上げるマンガも単行本にして二巻で完結しており、
話の内容からしても物語の長さ的にも決して人気がずば抜けてはいなかったように思えます。
しかし、「MAD JAM」連載終了後に岩田康照が手がけた「球魂」という作品は
卓球マンガに挑戦して新たなスポ根マンガを作り上げたと言っていいと思うし、
現在に至る彼の長期連載作品であり代表作であるはずだ。

話が「球魂」の方へ進みそうになったので「MAD JAM」に戻そう。
正確ではないかもしれないが、
当時連載されていた掲載雑誌の小学館週刊ヤングサンデーには
新井英樹「The World Is Mine」や細野不二彦「太郎」らがあったと思う。
雑誌には雑誌の色・個性というものがあり、
連載されている作家というよりも作品は料理のフルコースのように、
うまくまとまっているものです。
今では08年に休刊されてしまったヤングサンデーというフルコースの中では、
「MAD JAM」は僕が感じたところ、
ちょっと異端で雰囲気的にはヤングキングとかチャンピオンあたりに連載されていそうな感じを受けています。


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