槙村さとる 「まみあな四重奏団」 を読んで


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この作品、いや少女漫画を含めて槙村さとるを取り上げるのは正直しんどい。
僕にとって、槙村さとるの作風はどうも掴み所が無くて、僕自身がどのように作品を受け止めていいか判らない(迷う)のが正直な本心です。
それは僕が男だからなのか、それとも卑小な人間だからなのか判断出来ないところなのだけど、槙村さとるのキャラは非常に好きで、
特に女性のかっこよさや可愛いらしさ、加えて美しさに女性特有の妖艶さに芯の強さなどをキャラクターの絵で魅せられる非常に優れた作家だと思う。

槙村さとるは73年に「白い追憶」を発表して以来、絶大な人気を誇り、未だに漫画家としてトップの位置に立ち多くの女流漫画家を支えていると思う。

今回取り上げる「まみあな四重奏団」は集英社文庫版とし、前半部分の同名を取り上げ、後のエピソードである「まみあな四重奏カノン」は後日としたい。
この作品は88年に週間マーガレットに連載され、当時としてはマーガレットを支える漫画家であったことは間違いないだろうし、
既に15年のキャリアを持つベテランに入り始めた作家として活躍していたに違いないだろう。

あらすじはヴァイオリニストの父にピアニストの母、そして音楽の才能に恵まれた3人の兄に囲まれている花梨は勉強も音楽も落ちこぼれの末娘。
そんな環境にコンプレックスを感じながら双子の兄である和音との生い立ちや受験との葛藤、家族のあり方を指し示すファミリーマンガ。
ファミリーマンガと書いたのは、音楽を題材にして家族を描いているからであって、音楽のあれこれというのはあまり描かれていない。
音楽の表現や題材の強さが傾いているのは後のエピソードである「まみあな四重奏カノン」だと思う。
ただ、その家族のエピソードには執拗に"家族は一緒"だということが描かれているわけで、
88年には既に幻想といえる理想的な家族像を描いているわけだけど、
音楽の輪というアンサンブルを使って家族は一緒という強さを上品に嫌味なく描かれている。

週間マーガレットという媒体でありながら、恋愛よりも家族の絆を強く描いている(カノンでは恋愛がメインになるわけだが)のは、
なんとなく不思議で変わっているなぁって思ったのは僕だけだろうか。


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