松本規之「つばめ〜陽だまり少女紀行」を読んで


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僕は30歳(07年5月現在)になったのだが、マンガをあまり読まなくなった。
偉そうにマンガの批評を書かせて頂いているので本当は沢山のマンガ作品を読まなければならないのだけど、
演奏や仕事などで時間が追われて雑誌を手に取らなくなった上に、
また年齢的なものなのかマンガやアニメから少しずつ離れつつあるのも事実です。
そういった意味で僕が尊敬するオタク(そもそもオタクの定義が難しくなっているが)の先輩たちは多忙の中で、
きちんと最低限の作品はチェックしているので偉いなぁ・凄いなぁって心底思います。
「オタクは修行である」って僕が敬愛する岡田斗司夫氏が言っていたと思うけど、
本当に好きな時間とか作品ではなく、とにかく沢山の作品を読むとか観る・聴くって修行だよなぁ。
でも自分の職業である音楽に関しては苦も無く沢山の作品を聴くし、
演奏もしているから本当に好きなものって別次元なんだよね。
でも、そんなことを書いちゃうと、マンガを読むのが苦なのか?ってことになっちゃうね(笑)。

さて今回は松本規之「つばめ〜陽だまり少女紀行」を取り上げようと思う。
実を言うと、この作品に出会ったのは偶然で、
マンガ雑誌「月刊COMICリュウ」(徳間出版)2007年6月号を購入したことから始まる。
この雑誌との出会いは07年に新宿ロフトプラスワンで行われた「オタク大賞」というイベントで、
僕が敬愛するオタクの一人である鶴岡法斎氏が貶しているのか褒めているのかわからない彼独特な節回しで、
上記の雑誌を妙に絶賛していたのが気になったのがきっかけだ。
手にとってみると、かなりの大御所さんが連載しているじゃないですか。
それ以上に驚かせたのが、僕が大好きな作品である田中芳樹「銀河英雄伝説」が道原かつみの手で連載復活されているじゃないですか。
道原かすみ版のマンガは大分前に終了していたので復活していてびっくりでしたよ。
まあ、そんな雑誌(どんな雑誌や)なわけですが、
創刊されてから半年が経過しているだけあって内容のわからない作品が殆どなのですけど、
割と面白いと思うので皆様も興味半分で雑誌を手に取って頂けると幸いです。

そんな中で、雑誌に連載されていた松本規之「つばめ〜陽だまり少女紀行」第8話/しまなみからの風と音(前編)に出会いました。
松本規之は主にライトノベルと分類される小説でイラストを描いており、COMICリュウがはじめてのマンガ連載となるようです。
COMICリュウの創刊から連載されているらしく、既に第8話まで進んでいたのですが、1話完結型のようです。
僕がこの作品を取り上げるからにはマンガにおける音楽表現で特筆する箇所があったからです。
まず、1ページ目に書いてあった作品のコピーを引用したい。

「広島県尾道市。瀬戸内気候の温暖な町です。今月はここが舞台。ブラスバンド部の新入生、美沙と美央が高校に入ってすぐに経験する出会いと別れ…。様々な映像作品で幾多の印象的なシーンを紡いできた尾道で、また小さなドラマが生まれます。」

読んだとおりに多分、尾道を舞台に素朴な人間ドラマを描いている作品。
そして今回の物語はブラスバンド部の生徒らの物語らしく、
美沙と美央が在籍するブラスバンド部の静江先輩が、
著名な指揮者である父の仕事の都合でロンドンへ引っ越しをしてしまう。
美沙と美央は別れの日に先輩との思い出の曲である「somewhere over the rainbow」を吹いて送り出すというお話。
この物語で静江先輩が美沙のアルトサックスを借りて、
映画”オズの魔法使い”から「somewhere over the rainbow」を奏でるわけだが、
僕は面白い発見をした。


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